「うつ病ですね。休んだほうが良いと思いますよ」
昨年5月、仕事へ行くために化粧をしている途中、突然身体が動かなくなった。着替えも済ませて、あとは化粧を終えるだけだというのに、次の工程に進めない。「もう、無理」なぜ頑張らなくてはいけないのか、唐突にわからなくなって、結局出社することもできなかった。
やっとのことで会社に連絡を入れたものの、ただの体調不良で何日も休むわけにはいかない。10代の頃、精神科に通っていたことと、身内に精神疾患を抱えているものが何人かいたこともあって、自分の不調は精神的なものによるものと考え、迷うことなく「精神科」を訪れた。
十数分のカウンセリングと検査ののち、「うつ病」と診断を受け、休職のための証明書を書いてもらった。
自分が精神的に不安定な状況であることは理解できても、そうならないために日ごろ「ストレス発散」はしているつもりだったので、「うつ病」と診断を受けるまでになってしまったことが中々受け入れられなかった。
「きちんと休んで、ストレス解消もしているはずなのに、なぜこんなことに」
そんな疑問もあって、読み始めたのが今回紹介する5冊です。

現在は離職し無職ですが、復職する際に同じことを繰り返さないためにもストレスとの向き合い方を知る手がかりになりました。参考になれば幸いです。
◆今回紹介する本
- 「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」吉里恒昭
- 「あなたを疲れから救う休養学」片野秀樹
- 「心療内科医が教える本当の休み方」鈴木裕介
- 「小さいことにくよくよするな」リチャード・カルンソン
- 「自分を喜ばせる習慣」田中克成
「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」
まず紹介する「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」は、ポリヴェーガル理論をすでに知っていて、より詳しく知りたい人のほか、書店に並ぶ幸せのハウツー本に飽き飽きしている人や、緊張しやすい人、思いつめやすい人におすすめの1冊です。
ポリヴェーガル理論とは、ヒトの様々な不調は当人の意志の弱さや自己管理能力によるものではなく、自律神経の働きによるものとしてとらえて向き合うものです。
読み始めてまず感じたのは、「自分が休職するまでに至ったことについて、自分を責める必要はないのかもしれない」ということでした。
休職当初、勤めて半年だったこともあり、なぜこんな早くに、と自分を責め続け、休職にもかかわらず心が休まることは一切ありませんでした。そんななかで、本書は自分の苦しみをやわらげてくれ、なおかつ、復職した暁にどのように自分自身のストレスと向き合うかを考えるきっかけとなりました。

ポリヴェーガル理論について、3つの自律神経の状態を具体的なエピソードを交えて紹介してくれているため、自分の身に置き換えて理解しやすくおすすめです。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」 |
値段 | 1,700yen+tax |
著者 | 吉里恒昭 |
出版社 | 日本実業出版社 |
発売日 | 2024年4月20日 |
「あなたを疲れから救う休養学」
続いて紹介する「あなたを疲れから救う休養学」は、寝ても寝ても疲れがとれない人や、疲労感のせいで生きづらさを感じている人、休むことに罪悪感のある人におすすめの1冊です。
なぜこんなにも疲労が溜まるのか、そもそも疲労はなぜ溜まり、どうしたら消えるのか。科学的なデータをもとにしながらも、医学に明るくない人間でもわかるように丁寧に記されています。

日本人がいかに休養を侮っているかを痛感し、休み方にする考え方を改めてくれる1冊でした。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 「あなたを疲れから救う休養学」 |
値段 | 1,500yen+tax |
著者 | 片野秀樹 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
発売日 | 2024年3月12日 |
「心療内科医が教える本当の休み方」
続いて紹介する「心療内科医が教える本当の休み方」は、自分に合った休み方を知りたい人や、他者のニーズを優先しすぎたり、周囲に過剰に適応したりして慢性的に疲労感を覚えている人におすすめの1冊です。
本書では先に紹介したポリヴェーガル理論をもとに、ストレスが人にどのような影響を及ぼすのか、ストレス・自身の置かれた状況別にそこから脱する方法や日常に取り入れられる習慣が記されています。
読んで特に驚いたことが、見えないストレスの影響について。普段「大したことない」と思って気にしないようにしていたストレスが実際にはきちんと自分の中に蓄積されており、無視しつづけることによって自分の当たり前が遠のく可能性もあるのだ、という事実を知ることができました。

自律神経との向き合い方のほか、ストレスの正体について詳しく記載されており、自分に合った環境を見つける手がかりになる1冊です。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 「心療内科医が教える本当の休み方」 |
値段 | 1,400yen+tax |
著者 | 鈴木裕介 |
出版社 | アスコム |
発売日 | 2023年9月13日 |
「小さいことにくよくよするな!」
続いて紹介するのは「小さいことにくよくよするな!」。こちらは不安が強く、物事を深刻に考えやすい人や、何かと他者を優先してストレスを抱え込んでしまう人におすすめの1冊です。
一歩引いて客観的に見ればなんてことない問題でも、その中に次から次へと問題を見出して、勝手に一大事だと思い込んであたふたする。私自身が休職するまでになった理由のひとつに、自分の不安の強さがあったように感じています。
それについて、自身の性格だから変えようがないのでは、という気持ちと、こんな性格の自分は社会復帰できたとて同じことを繰り返すのではないか、という不安の板挟みにあっていましたが、本書を読み、ひとつ新たな視点を加えることで強い不安がくっと軽くなるのを感じました。
また、本書のなかで特に印象に残った言葉として「ストレスに強い人にはストレスが増える」というものがあります。世間ではストレスに耐えることが美徳とされる風潮がありますが、それって本当に必要なことでしょうか。

「言われてみればそうだよな」と、気持ちを平静に引き戻してくれる1冊でした。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 「小さいことにくよくよするな!」 |
値段 | 1,760yen |
著者 | リチャード・カールソン 訳:小沢瑞穂 |
出版社 | サンマーク出版 |
発売日 | 2024年1月10日 |
「自分をよろこばせる習慣」
最後におすすめするのは「自分をよろこばせる習慣」。本書は自分にとっての「悦」を見失っている人や、日々が漫然と過ぎて不幸せだなと感じている人におすすめの1冊です。
筆者は33歳で脱サラし、「成功」を追い求め、様々な国や地域へ足を延ばしたと言います。その中で人の成功は環境に左右されるという現実を目の当たりにし「それでもなお誰もが幸せに成功するためには?」を研究。
そして行きついたのは「人は自分の悦びを探すだけで幸せを手に入れられる」というシンプルなものだったそうです。

本書には様々な幸せへの道しるべが具体例とともに紹介されています。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 「自分をよろこばせる習慣」 |
値段 | 1,430yen |
著者 | 田中克成 |
出版社 | すばる舎 |
発売日 | 2023年2月7日 |
まとめ
巷には様々な「幸せへのハウツー本」が並んでいますが、悩みも環境も感性も、人それぞれです。万人に共通する「幸せのコツ」なんてあるはずがありません。
自分が何にストレスを感じ、何をしているときはリラックスしているのか。今一度問うてみてはいかがでしょうか。
自分で認識できていないストレス 「大したことない」「我慢するしかない」と思っているそのストレスは、必要なものなのでしょうか。

限りある人生。自分のために、正しいストレスとの向き合い方や休み方を知ることで、より快適に日々を過ごせるようになるかと思います。よろしければ読んでみてくださいね。
コメント