青春18きっぷで節約旅〜東京から群馬〜ハイキングでリフレッシュ

ひとり旅

今年も青春18きっぷが発売された。休みの前日、仕事の前に券売機へ立ち寄り購入した青春18きっぷを片手に、週末日帰り旅。

ずっと気になっていた「群馬県」へ。

時間から開放されることへの気付きと、ほどよい筋肉痛を得た、日帰り旅行となりました。

そもそも「青春18きっぷ」とは?大人も使える

項目内容
価格(2024年春)12,050円(5回分)
販売期間(2024年春)2024年2月20日(火)~3月31日(日)
使用期間(2024年春)2024年3月1日(金)~4月10日(水)
参考:JR東海

【注意】上記の表に記載されている金額は2024年春時点のものです。2024年冬季以降は料金が変動します。

無人の改札越しに見える、薄水色をベタ塗りしたような空、日差しを反射しきらめく海。輝く汗と、心地よい疲労。

夢と憧れを胸に灯していたあの頃の記憶を呼び起こしてくれるポスター「青春18きっぷ」。

どうもお得らしい、と気になりつつも行動に起こせないまま成人した。大人になって、金銭的に余裕が出てきてから旅行の楽しさを知り、久しぶりに気になって調べてみると、どうも成人しても使えるらしいぞと知った。

青春18きっぷの最新料金

種類料金
青春18きっぷ(3日連続利用券)10,000円
青春18きっぷ(5日連続利用券)12,050円
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券(1日間用)4,500円
参照:JRグループ「青春18きっぷ」「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売について

青春18きっぷは2024年冬季より、リニューアルしました。

以前は利用期間内であればいつでも利用することができましたが、リニューアルした青春18きっぷでは「連続した3日間」「連続した5日間」で利用する必要があります

期間の制限はできましたが、新たな青春18きっぷでは自動改札を利用できるため、有人改札で待たされて電車に乗り遅れる心配がなくなりますね。

筆者
筆者

青春18きっぷは「みどりの窓口」のほか、指定席券売機でも購入可能です。

青春18きっぷで利用できる電車は?

項目内容
利用できる◎JR普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)※、JR西日本宮島フェリー
利用できる○(追加料金あり)グリーン車
利用できない✗新幹線

※JR線(BRT含む)及び、JR西日本宮島フェリー以外の路線は、一部の鉄道会社線の特例を除き利用できません。

青春18きっぷではJRの普通・快速列車に乗ることができる。グリーン車や普通列車の指定席も追加料金を支払うことで利用できるので、普通車の座席に疲れたときなど上手に活用するのがおすすめ。

【9:30】東京駅〜群馬・高崎駅へ|駅弁を携えて

2024/3/4(月曜日)9:30

東京駅から電車に乗った。駅弁は、ずっと気になっていた「チキン弁当」。高崎へ向かうために乗車した「上野東京ライン」のある7番線ホームの階段脇にある弁当屋で購入した。

高崎までは2時間弱かかるためグリーン車に乗る。

電車が発進し弁当を出すと「おや」、箸をもらっていないことに気がつく。しかし購入したのは、弁当屋。出先で食べる人に販売するプロがまさかお箸を忘れるわけがない。

弁当に同梱されているんだろうか、と思ったものの、もし入っていなければ食べずに持ち帰るしかない。一度開けたあとで入っていなかった場合が厄介だと思い、ネットで調べると、弁当箱の中にきちんと箸が入っていることがわかった。駅弁、さすがである。

薄味のケチャップライスと、唐揚げ。レモン果汁と、スモークチーズもついている。

正直食べて驚くような美味しさではないけれど、これを子供の頃に食べていたかった。大人になって味覚は変わったけれど、童心を携え、ひとり旅をしている時に思い出の味として食べたら、どんなに味わい深かったろう。

【11:20】高崎駅到着

車輪のデザインがカッコいい高崎駅に到着。乗換のために改札のあるフロアへ上がると、改札内にニューデイズと弁当屋もあった。

手洗いを済ませ、横川へ向かうためホームへ降りる。ホームへ降りるとすでに電車が到着していた。

発車までは時間があったので、ホームをぶらり。

待合室も旧い駅舎風になっており、昭和レトロな雰囲気に思わずスマホのカメラを起動した。

発車時刻が迫って、電車に乗り込む。高崎から横川へは、約35分。平日の昼間だからか、人はまばら。電車に揺られるうち、視界がひらけ、横川が近づくとトンガリ頭の妙義山が顔を出した。

【11:57】横川駅到着

横川駅へ到着すると、高崎駅よりも空気がひんやりと涼しい。駅のホームには横川駅へ多くの旅客を導いてきたかつての路線の一部が展示されていた。

アプト式とは鉄道の方式のひとつで、急こう配を登るための鉄道システムの一種だそう。この後歩く「廃線ウォーク」でもかつて使われていた線路である。

横川駅を出る。眼の前には、横川の散策マップ。駅の左手には「峠の釜めし」屋。ベンチもあるので、ここで釜飯を食べても良い。

【12:00】廃線ウォークをしよう

群馬の観光で土合駅の次に観光したかったのが「眼鏡橋」。赤レンガで築かれた立派な陸橋につよく惹かれた。また電車が好きなので、廃線ウォークのスタート地点にある「碓氷鉄道文化むら」へも時間があれば立ち寄ろうと考えていた。

「眼鏡橋までは約15分」、そう思い込んだまま歩き出す。道中、休憩所や碓氷鉄道文化むらをとおりすぎ、線路脇の道をひたすら歩く。歩く。

10分、15分。歩いて、歩いて、「おや」と思ったのは、歩いてもう20分も経過したころ。横川駅から徒歩15分の割には一向に到着の気配がない。そしてここまで人っ子一人ともすれ違わなかった。

右手は山へと続く林。左は線路。

人の気配は一切なく、時たま林の中から鳥が飛び立つのみ。クマでも出てきやしないかと、不安で冷や汗まで湧いてきた。

恐る恐るマップを見ると、そこで自分のえらい勘違いに気がついた。

眼鏡橋までは約15分、それは間違ってはいない。しかしあくまで車の場合だ。距離は約5キロ。徒歩だと約1時間30分。もともとの予定では徒歩15分の予定だったため、横川の滞在時間は2時間として計画をたてている。

この時点で、本来の目的であった「土合駅」へは行くことができない可能性が出てきた。

引き返せば、土合駅へは行ける。しかしもうすでに20分以上歩いている。ここで目的を達成せずに引き返すのも、あまり気持ちよくない。そこでそのまま歩き続けることにした。

赤レンガの変電所

横川駅から歩くこと、約45分。赤いレンガ造りの変電所へたどり着いた。国指定の重要文化財である。

どこまで近づいて良いのかわからず、芝生の上まで入ることはしなかったのだけれど、ちょっと引いた場所から見ても、数十年前の空気そのまま、そこだけ過去に置き去りにされているような侘しさと強い存在感を覚えた。

変電所を超えると行き止まりがあり、左右には小さなトンネル。

ここを「峠の湯」へと左折。トンネルを出ると、左手にトロッコ列車の線路が伸びている。この線路の反対側に、先程まで歩いていた道がある。

道なりに進むと、日帰りの温浴施設「峠の湯」と公衆トイレがある。お風呂が好きなので、峠の湯も気になったが、何しろ自分の勘違いによって時間が限られている。のんびりしていると、土合駅へいけなくなるのでさっさと通り過ぎた。

温浴施設の脇にはトロッコ列車の乗り場もあり、現在も土日は営業しているようであった。

【13:00】トンネルをくぐる、くぐる

廃線ウォークをしたいと思ったきっかけである「トンネル」。昼間でも薄暗く、左右に並ぶ電灯の明かりが遠くにうっすらと反射している。

もともとトンネルはひとつだと思っていたが、実際には眼鏡橋に到着するまで5つのトンネルを通過する。

こちらは最初の写真とは違うトンネル。最初のトンネルがレンガ造りだったのに対し、こちらはコンクリートで補強されている。鉄骨が骨、鉄骨の形が浮くトンネル上部のコンクリートはまるで脈のよう。トンネルの形も相まり、クビナガリュウの首の中にいるような気分になった。

画質が粗くて申し訳ないのだけれど、トンネルの高さはこんな感じ。組体操なら五階建てのビルが作れそう。

【13:10】碓氷湖でひと休み

奥に妙義山が覗く碓氷湖。太陽の日差しをチラチラと反射している姿は、小さな宝石がたくさん泳いでいるよう。

アクセスについて、とんでもない勘違いをしていた自分自身に対して、嫌気が差し掛けていたため、そんな気分を払拭しようと自動販売機で飲み物を買った。

350mlのエナジードリンクと迷った結果、途中でトイレが近くなっては困るので、サイズ感が手頃なエナジージムにした。

ベンチに座って湖を見るうち、すこし心が穏やかになった。

同じ場所にじっといているだけでも、雲が動き日が差したり陰ったり、風が吹いて音が消えたり止んで澄んで聞こえたりする。岩だと思っていたものが実は切り株だとわかったり、湖の淵だと思った場所が実はダムへの入り口だったりする。

新しい場所を多く巡ることが、旅の充実ではない。と、そんなふうに思わせてくれた。

【14:00】めがね橋

横川駅を出発してから約2時間。目的のめがね橋に到着した。

てっきり橋の下に出るものかと思ったが、いくつかのトンネルを抜けたあと、めがね橋へは橋の上に出るので、橋の脇にある階段を下って国道へ降りないと全体は見えない。「ヤマヒル注意」の表示が出ている階段をたったっと下っていく。

長年、風雨にさらされ、苔むした赤い橋。めがねのフレームのように丸いフォルムが可愛らしい。橋のてっぺんを、先程は歩いていたのだ。

しかしこの頃には疲労がピーク。疲れすぎると、感動よりも疲労が勝って、ゆっくり見て回る余裕もなかった。

国道を挟んだ先に、バス停の表示が見えたので寄ってみる。バスで駅まで帰れたら、土合駅へはまだ行ける。

「今年度の運行は終了しました」

赤字ででかでかと書いてあった。バスは諦め、徒歩で帰ろうとめがね橋の下へ戻ると、スマホを耳にあてた二人の女性。

「えぇ、今めがね橋ってところなんですけど、タクシーお願いできますか。えぇ、15分?40分?わかりました。待ちます」

車なら横川駅まで15分で帰れる。しかしタクシーをチャーターするような金銭的余裕はない。そこで「ヤマヒル注意」の表示脇から階段を上がり、来た道を戻ることにした。

【14:10】行きはよいよい、帰りは

帰りにひと休みした休憩小屋

なんだか身体が重い、最近食べ過ぎだろうか、運動不足か、と年齢と自分のだらしなさを感じて気持ちも塞いでしまっていた行きの道。

しかしめがね橋を後にし、トンネルをくぐると、くっくっくっ、まるで誰かに背中を押されているのではと思うほどに脚が軽い。若干の駆け足になって道を進む。

なんだ、行きの道は緩やかな傾斜がついていたのだ。それこそ平坦な道か、坂道かの区別もつかないほどに。

帰りは行きより早く帰れるだろう。けれどもう土合駅へは行けまい。「それならば、」プランを新たに、帰り道をするする進む。

【14:35】峠の湯

「土合駅」へ行かないことしたため、行きに通りがかって気になっていた「峠の湯」で、汗を流すことに。

項目大人料金子供料金
(4歳〜中学生)
3時間700円500円
6時間900円600円
終日1,000円800円
1時間ごと200円150円
安中市世帯配布クーポン利用時500円300円
参照:公式サイト

靴を預け、下駄箱の鍵を持って受付へ行く。すると受付の女性がにっこりとほほえみ、

「今日はレディースデーなんですよ」

とのこと。いくらだったかは忘れてしまったが、いくらかお得になった。このほかにタオルを購入。あいにくレンタルがなかったため、小タオルとバスタオルの購入で入館料と合わせると約1600円になった。

思いがけない出費となったが、これで汗を流せるのだから、まぁ良い。

「峠の湯」の浴槽は、1週間毎に男女が入れ替わるのだと湯船に浸かっている間に地元の方々の噂話で聞いた。

サウナは水風呂もあり、露天にはベンチもあるため外気浴もできる。湯船の数は内風呂ひとつ、露天ひとつと多くはないものの、人が多くないので、とてもゆっくりと過ごせる。

望遠鏡と妙義山

湯上がりにベランダへ出た。そこには100円で100秒間、景色を楽しめるという望遠鏡が。望遠鏡の先にあるのは妙義山。ほかには特に珍しいような場所もなかったが、もう何年も望遠鏡など覗いていない。

久しぶりに覗いてみたいなと100円玉を手に取った。

ひたすら山肌がみえた。ゴツゴツとして、うっすらと雪を被った岩肌。猿でもいやしないかと動かしたけれど、そんなうまくは見つからず。しかし思っていたよりはあっという間の100秒だった。

子どもの頃の記憶に胸を温められ、望遠鏡を離れた。

峠の湯にはレストランやカフェも併設されていたので、時間に余裕がある方はここでご飯やお茶をしても良い。

【15:50】帰途につく

温泉で芯まで温まったぽかぽかの身体で帰途につく。段々と傾いてきた日差しが、心地よい。傾いた日差しが、私を影絵にしてくれた。

サイコーの気分で空を見上げると、視界の端に保育園が見えた。

そこには、きつね、イノシシ、サルのペイント。

「あ、クマはこの辺にいないのね」

なんとなく、そう思った。行きに抱えていた不安のひとつが減り、心はより軽くなった。人はやっぱりまったくいない。

「♪カントリー・ロード、この道〜ずっとぉ〜行けばぁ〜〜あの街〜にぃ〜つづいて〜るぅ〜気がするぅ〜カントリー・ロード」

大きな声で歌っても、誰にも指をさされない。優しさに満ちているのに、どこか切ない。こんな道には、ジブリの歌がよく映える。帰り道はひたすら歌って歩いた。

【17:00】高崎パスタはらっぱ

横川駅へ戻ると、ちょうど電車がきていた。そして、その電車を逃すと今度は1時間後のようであったため、急いで乗る。行きの電車は空いていたが、帰りの電車では途中からわらわらと学生たちが乗車してきた。

座れない人も出てくるくらいには混雑した電車に揺られること35分、高崎駅へ戻る。

お目当ては「高崎パスタ」。高崎は、パスタの消費量が日本一。その中でも高崎市民に愛されているパスタチェーンが「スパゲティー専科はらっぱ」。

高崎駅西口側に直結している「モントレー」ビルの中にもある「スパゲティー専科はらっぱ」へ行ってきた。

さまざまなパスタがある中で選んだのは、「トマトとチーズのパスタ」。100円でパスタ用のバケットをつけられたので、それも注文。現在、期間限定でお好みのパスタにサラダとビールをつけてくれるお得なセットがあったので、それを注文。

パスタがくるくるとスープをかき混ぜる。はじめはあっさりとしているように感じられたスープは、食べ進めるうちにチーズがまんべんなく染みてとろみを帯びた。

 スープパスタを外食で食べたのは初めてで、ソースのものと比べると、だいぶ熱かった。おかげで火傷したように舌がぴりつき、目には涙が浮かんだ。

 酸味のあるトマトと、ふんわりと支配するにんにく。すべてを均すチーズ。

 かりっとしたパンをスープにひたせば、柔らかい部分がスープを吸ってしんなりとする。たっぷりのチーズをのせて食べればトースト風で良いつまみにもなる。ビールとよく合う。

高崎駅でご飯に迷ったら、手頃に名物の高崎パスタを食べられる「スパゲティー専科はらっぱ」おすすめです。

【18:00】帰途につこう

さて、のんびりと始まった青春18きっぷ旅も終わりに近づく。合計4時間近く歩き、身体はくたくた。東京まで2時間近く普通列車の通常座席で帰ろうかとも思ったけれど、結局は1,000円でグリーン車に乗ることに。

1,000円で心の余裕を買える。なんて素敵なんだ。持参していたキットカットをおやつに、カフェオレを飲みつつ、東京駅までのんびりと夜景を眺めた。

参照したサイト

この度の記事を執筆するにあたって参照したサイトを以下に記載します。

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